勘太郎さんが亡くなられた後も、相方のたにしさんはお一人で舞台に立たれています。
たにしさんは実に実直な方で、決して虚勢を張ることはなく、お一人で舞台に立たれるご苦労も口にされますし、今でも1回1回の舞台を“善き舞台”にすべく、真摯なお気持ちで活動されていらっしゃいます。
お笑いコンビの活動形態は時代の移り変わりに伴って変わって来ています。
それこそホームランさんの時代や、その先人である師匠方の時代は…あくまで“コンビ”という形に拘る方が多かったように思います。
それは言い換えれば“ネタ”をやるという活動を基盤しているからで、1人になった時点でその基盤は無くなってしまうから。
ところが…メディアでの活動を視野に入れると、その活動基盤以外にも活躍の場を見出すことが出来るようになり、1人での活動がメインになる場合もある。
大御所で言うと、北野武さん、(引退されましたが)島田紳助さん、大竹まことさんも元々はシティボーイズというコントグループの方だし、メディアはその傾向を顕著にさせる傾向にあります。
ただ…舞台はそうは簡単に行かないのです。
コンビ(…3人以上のグループも同じく)として年月を重ねて作り上げたネタがあって、それがゼロになった時点で1人は1人でまた1からネタを作りあげなければならない。
勿論コンビでやっていたネタをピンにスライドさせてしまう場合もあるかもしれませんが、それでもやっぱり私は別物だと思っています。
だからこそ…現在のたにしさんの活動には心から敬意を感じるのです。
勿論死別などの理由でお一人になられたタイミングを以てすっぱり芸事を辞められる、それもまた勇敢な決断だと思っています。
どちらも正義だと思います、そして…芸人という仕事は如何につぶしの効かない職業であるか、ということも痛感させられるのでした。。。