この映画『アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~』はヘヴィメタルファン以外にも大きな注目を集めました。
とある先輩芸人さんは…映画が始まって5分の時点で大号泣したそうです。
私も同じく。
芸事が好きで始めたは良いが、いざ飛び込んでみたその世界は…思い描いたそれとは全く違い、とにかく思い通り行かないことだらけ。
“自分は面白い”“自分こそが売れる”“自分は絶対に認められる”…そんな何の根拠もない自信を胸に秘め、いざ自分がその世界に身を置いた瞬間、如何にそのレベルが高いかを思い知らされる。
それでも何処かで“自分だけは報われる”と信じ、芸事を続ける訳ですが…世の中はそんなに甘くなくて、当初思っていた“直ぐにスターになる”という目標は脆くも崩れ、現実はほぼフリーター状態。
その内バイトで生計を立てて行くことが当たり前のようになってしまう…そうなると危険、中々抜け出せないのです。
ANVILのリップスとロブの半生は、まさにそんな苦節の日々でした。
いや、ANVILの場合は出だしがとても恵まれていて、思い描いていたモノが手の中にありながらするするとすり抜けてしまったような感じ。
スターを約束された状況だったからこそ、その落差は大きい。
そしてスターの立場で浴びるライトの眩しさを知っているからこそ、再びその快感を味わいたいが故に辞められない。
信じているのです…耐えて、頑張っていれば、いつかまたあのライトを浴びることが出来ると。。。
何が辛いって、そのライトを浴びるチャンスはいつ訪れるかが分からないこと。
そしてもしかしたら訪れないかもしれないこと。
こう書くと…まるで“運”と“不運”でしか運命が決められていないように思うかもしれません。
2024年3月6日