人柄も気さくで、一度として偉そうな態度をとられることもない師匠でした。
こちらが言う話ではないんですが…直ぐに東京丸・京平師匠とも仲良くなりました♪
楽屋に挨拶に行くと…いつも笑顔!
京丸師匠は「わざわざすいませんね」と返してくれて、満面の笑み。
もしくはいきなり「売れそうだねぇ、行けるよイー感じだよ」と唐突に褒めだす。
「えっ、何でですか!?」と返すと「分かるんだよ、観てれば分かる」と根拠があるのかないのか判りませんが一瞬の迷いもなく即答して下さる。
私もコント半分、マジ半分で「何処を観てそう感じられるんですか?」と質問を返すと…「木曽ちゃんがイーんだよぉ」とこれまた満面の笑み。
このやりとりを相方である京平師匠はステージ上と変わらない朗らかさをもって脇で聞いてらっしゃる。
そろそろ突っ込んで来るのかなぁと思ったら「そうだんだよな、木曽さんがいーんだよな」と同調して来る!
私も楽しくなっちゃって「いやいや、私の何処がいーんですか?」と突っかかる。
すると「言葉選びがイーんだよ」とそれらしいことを仰る!
そこに京平師匠が「そう!言葉選びがイーんだよね」とかぶせる!
なんじゃこりゃ!
私も漫才協会に籍を置かせて頂き…気付けば20年。
色んな師匠方と御縁が出来た訳ですが…東京丸・京平師匠は間違いなくステージ上も楽屋も、間違いなく唯一無二の師匠でした。
当時今以上に“唯一無二”に拘っていた私にとって、東京丸・京平師匠は…とても親しみを感じる師匠だったのです。
楽屋におけるお笑い芸人って、大きく分けると二つあって…ステージを降りるとスイッチをオフにしたりキャラがガラッと変わるタイプと楽屋も変わらずステージの延長戦宜しく饒舌なタイプ。
京丸京平師匠は…その二つのタイプがブレンドされたタイプで、テンションは落ち着くんですが、楽屋でも絡んでくれるタイプ♪
唯一ステージ上と違うのは、京平師匠が京丸師匠に乗っかって、ステージの如く突っ込むのではなく、むしろ乗っかって一緒にボケるんです。
これが楽しくて…いつもお会いするとしっかり絡ませて頂いてました♪
若い方は御存知じゃない方が多いと思うのですが…東京丸・京平師匠は“ヨイショ漫才”というスタイルで一世を風靡された実績のある漫才師なんです。
若手の登竜門である『NHK新人漫才コンクール』で、優勝候補と目されていたあのツービート(ビートたけしさんとビートきよしさんのコンビ)を破って優勝したり、同じく若手芸人の発掘番組だった日本テレビの『お笑いスター誕生‼』では金賞を受賞されるなど、様々な実績を持つ方々なんです。
補足ですが…この『お笑いスター誕生‼』という番組は、先述のおぼん・こぼん師匠、大竹まことさんのシティボーイズさんほか、とんねるずさん、ウッチャンナンチャンさん、コント山口君と竹田君のお二人ほか、現在も活躍するお笑い芸人を多数輩出したモンスター番組だったんです。
私の時代だと…『爆笑オンエアバトル』『エンタの神様』『爆笑レッドカーペット』などの番組がそれにあたる訳ですが…いつの時代もそのような番組でしのぎを削り、そこで勝ち上がった芸人が次のステージに行くヒエラルキーの構図は変わらないんですね。
2023年07月28日