この“シアターDオールスター”というライブは、お笑い芸人を抱えるプロダクションからその月の代表として１～２組出演。
プロダクションは吉本興業さん（現よしもとクリエイティブエージェンシー）、渡辺プロさん（現ワタナベエンターテインメント）、太田プロさん、ホリプロさん（厳密にはホリプロコム）、プロダクション人力舎さんといった著名なところから…私が身を置いていたような零細なプロダクションまで…毎回２０組くらい出演。
お客さんはそれぞれの推しの芸人さんを観に足を運ぶ訳ですが、大体は満員となる人気ライブでした。
出てる芸人たちは新進気鋭の顔触れ、且つ血気盛んな頃ですから…内心は〔自分たちが一番面白い〕〔他のやつらには絶対に負けない〕といった感じでギラギラした芸人たちが狭い楽屋にギッチリ集まっている有様。
それぞれの芸人が周りの芸人たちに対して〔何が面白いんじゃ〕とか〔こんな奴絶対売れない〕みたいな感じで、何処か殺伐とした空気が充満していたように思います。
今思い返すと皆尖がってたし、何処か突っ張り合ってて…感じの悪い人が多かったようにも思います。
で、それは…恥ずかしい話なんですが、私レベルの人間でもその辺りは否定出来なくて…特に零細なプロダクションに籍を置くことで舐められがちだったところを抗わんとして（心の何処かでは正論であることを認めつつ、なんですが）、常に気を張っていた記憶があります。
この頃の私は、Wコロンというコンビで活動を始める前の、バズーカルームというコンビで活動していた頃の話。
相方の中屋君がとにかくキャラが強くて、でも私の想像を超える突飛なことを思わぬタイミングで口にする芸人さんで、私はとにかく中屋君のことを面白いと思っていたし、芸人仲間を含めた色んな人に愛されるキャラクターだったので…もし中屋君が売れなかったらそれは自分のせいだ、というくらいに気負っていました。
しかしながらその気を張る日々も突如、終わりを迎えます。
中屋君のお父さんがご病気で倒れられ、家業であった不動産業を急遽中屋君が継ぐことになったのです。
それは…４度目となる単独ライブの開催を１か月後に控えた、まさに風雲急を告げる出来事でした。
中屋君自体が単独ライブに向き合う状況に無かったため、単独ライブは中止に、私と中屋君のコンビ・バズーカルームは解散することとなりました。
今でも…そのままバズーカルームを続けていたらどうなっていただろうなぁ、と思うことはありますが、正直、当時の私は…バズーカルームを、中屋君を導いていくために必要な自分の能力に限界を感じていました。
故に…心の何処かで〔助かった〕〔これで辞められる〕と思ったのも偽らざる気持ちでした。
２０２３年０７月０４日
