さてそんな『エンタの神様』ですが、私と同じく〔『エンタ』に出られればバイトを辞められる〕という淡い希望を持って芸人が沢山居たことも事実。
結果、当時の若手ライブには…『エンタ』に出るために『エンタ』向きのネタをやり出す芸人が増えました。
『エンタ』の新人発掘方法の1つに、若手ライブにADさんが派遣され、ライブの出演者を撮影して帰る。
その素材をチェックして、中から『エンタ』に出したいと感じた芸人をピックアップ、担当ディレクターをつけてネタのパッケージを完成させるべくネタを作り上げる、という流れでした。
そこで私が考えたのが…“謎掛け叩け売り”というパッケージ。
即興でお客さんからお題を貰い、私がお客さんをイジっている間に謎掛けを考えて披露する、というものでした。
モチーフにしたのは…桜塚やっくん。
漫才とは別に(『エンタ』のADさんがリサーチ撮影すると判った時に)敢えてこの企画をお客さんの前で披露し、『エンタ』の出方を伺ったのでした。
そして結果、私の目論見通り『エンタ』のスタッフさんから連絡があり、打合せが始まったのでした。
当時私が身を置いていた事務所の社長さんからは「そんなんで『エンタ』出れる訳ねぇだろ?」「お前らがテレビ出てるのイメージが湧かねぇよ」とまぁ、半ば門前払いだった訳ですが…真に受けなくて良かった、と思ったもんです。
ところが…その打合せでは「謎掛けはいらない」「木曽さんのお客さんイジりをメインにしたネタにして欲しい」と言われ…私としては複雑な気持ちになったのですが…結果『エンタ』の出演は断念。
そしてそのパッケージでその後出て来た『爆笑レッドカーペット』に出られるようになったのは、とても皮肉な話でした。
2024年2月1日