私が漫才協会にお世話になるようになって以降、様々な大先輩と仲良くさせて頂き、様々な大先輩の芸を自分の目で観ることが出来ました。
中にはもう二度と観ることが叶わない方々も…。
やはりこの方々を紹介しない訳にはいきません!
東京漫才に於ける“男女漫才のパイオニア”と言っても過言ではないコンビ、それが…あした順子・ひろし師匠!
何故観ることが叶わないのか?
それは…ひろし師匠が他界されたから。
漫才協会に入り、生の“あした順子・ひろしの漫才”を観れたことは、私にとって大きな財産です。
出て来るなり饒舌にまくし立てる順子師匠。
そしてそこにピントの合わないツッコミのようなボケを絶妙なスローテンポで入れていくひろし師匠
中盤以降は舞台を広く使い歌ったり踊ったり、あした順子ひろしワールド全開!
『男と女のはしご酒』の♪おとこはあなた、ひろし♪のひろし師匠のはかなげなステップ、そしてそのステップを散々泳がせてから「気持ち悪ぃーよ!ゴキブリがもがいてんじゃないんだから!」と絶妙なタイミングで小気味よく突っ込む順子師匠!
あと『マツケンサンバ』とか…最高やったなぁ。
この漫才の奥行きは、我々のような若輩者には一朝一夕には醸し出せません。
若いうちの漫才って、一生懸命考え、練り直したネタをお客さんの前で披露して、駄目ならまた台本を作り直して…の繰り返し。
これがベテランの域に入ると“人”と“人”の味で笑いを取れるようになると思う…あした順子・ひろしってまさにそこが真骨頂の漫才師だったと思う。
ひろし師匠がただぼぉーっと立ってるだけでもう客席は大爆笑になっちゃうんですから…もはや人間の域を超えた、お笑い超能力者のような存在!若手がただ突っ立ってたって中々そうは行かないですもんねぇ。
ただ、この“ぼぉーっと立ってるだけ”という見方は…全く違うんです。
2023年11月14日