音響効果の住吉昇です。
前回は、楽器やマイクなどのアナログ信号『音』をデジタル信号に変換しコンピュータとつなぐことができる「オーディオ・インターフェイス」を勉強しました。
今回は「コンピュータに音を取り込む」です。
音を取り込む
そもそも「コンピュータに音を取り込む」とはどのような事なのでしょうか!?
コンピュータを使うということは「編集」という作業が必要にになります。コンピュータでDAWを使っての編集作業になるのです。
効果音を作るという作業には『DAW』がなければ「何の作業もできない、始まらない」のです。
環境音「生音」をフィールドレコーダーで録音したり、スタジオでマイクの前で「アタック音(例えば、足音・携帯電話の着信音・食べる音・衣擦れの音 etc…)」などを録音するとしましょう。この録音した音はDAWを使って整音する作業から始まるのです。
生録した音やスタジオの収録した音はあくまで「素材」です。その素材を編集したり、録音レベルを調整したり、リバーブを付けたりEQで整えたりという作業が次の工程の作用になります。
画面のDAWはProtools
実際DAWに音源を挿入する場合は、そのソフトの挿入方法に従ってください。
DAWには音をインポートするファイルの読み込みがあります。そこから音源を「読み込み」ます。
DAWによってはドラッグ&ドロップに対応していることもありますよ。
このインポートから編集作業が始まります。
特に注意しなければならないことあります。
「ピッチのずれ」です。
オーディオ・ファイルとDAWのサンプリング・レートの違いによりピッチがずれてしまうことがあります。
ドラッグ&ドロップに対応しているDAWは、ドラッグ&ドロップの時点でサンプリング・レートを変換してDAWのサンプリング・レートに音源を合わせてくれますが、対応していないDAWではドラッグ&ドロップでずれが生じる可能性があるので、確実にインポートからファイルの読み込みをしましょう。インポートの時点でサンプリング・レートを合わせてくれます。さらに注意したいのは、ピッチだけでなく再生スピードまでずれてしまいうことです。確実にインポートしましょう。
音源の保存
音を取り込むには、フィールドレコーダーの場合は、コンピュータとレコーダーをUSBケーブルで接続して収録した音をデータという形でコンピュータ側に保存します。もちろんコンピュータ経由で外付けのHDD(ハードディスク)に保存する事も可能です。
スタジオでの収録は、オーディオインターフェースを使ってマイク経由でDAWに録音する事がほとんどだと思います。フールドレコーディングもスタジオでの録音したものも、いつ、どこで、何を録音したものなのかをしっかり把握しておかなくては意味がありません。しっかり管理して下さい。
SN比
ところで「SN比」という言葉を知っていますか。
録音レベルの設定をするときに、「ピークギリギリまで振らして」とか「ピークがつかないギリで」とか言われるのですが、ひと昔前と前置きをして話を進めると、ダイナミック・レンジ(注1)とも関係してくるのですが、
S=信号(signal)
N=ノイズ(noise)
この比率のことを言っています。
例えば、録音レベルを小さな音で録音してしまったとしましょう。オープンノイズやマイクのノイズは対象とする音源の大きさに関係なく一定なので、収録した録音レベルが小さいとそのレベルを大きくした時に、ノイズまで大きくなって目立ってしまうという事になってしまいますよね。ある程度適切なレベルで録音しておけばノイズも目立たないというわけです。
ちなみに今の機材ではそこまでギリギリを攻める必要はないと思います。アナログ機器に録音する時代と違ってデジタル機器に録音する時代です。テープヒスノイズ(注2)などは存在しません。
SONY(WM-D6C)
ギリギリを攻めるというより、録音レベル過多による歪みを避けたいところです。歪んでしまうとその録音の価値がなくなってしまうからなのです。
そこで録音レベルとピーク(歪むレベル)の差をどのくらいに設定すれば良いのかということですが、その差のことを「ヘッドルーム」と呼びますが、6dB程度あると良いとされています。これは楽器を録音する時によく言われることです。ある程度の余裕を設けることで歪み(クリップ)を防ぎましょうということなのです。
注1_ダイナミック・レンジ
一般的には、楽器の一番小さい音量と一番大きな音量の比率のことをいいます。
注2_hiss noise「ヒスノイズ」とは高音域のシーとかシューといった雑音をいいます。アナログ時代に録音で使われていたテープが発する「テープヒスノイズ」もその一つです。再生ヘッドとテープが再生時に摩擦によって発する音だと言われています。
まとめ
ピッチのずれには細心の注意が必要です。確実なインポートをして下さい。
さらに重要なことは音源の管理です。音源を保存し何の音なのかをハッキリさせることで後々の作業はスムーズになります。しっかりした管理をしましょう。
実際に音を取り込にみができましたか。
最後までお付き合いくださいまして有難う御座います。
本日はここまでとさせて頂きます。
次回も乞うご期待!
一緒に「今日も元気」にそして「あしたの元気」に繋げましょう!
音響効果・住吉昇