売れっ子ミュージシャンになると、世界中を巡る“ワールドツアー”というご褒美を手にすることが出来ます。
いや、これは決して売れっ子だけに限った話ではないのでしょうが…過酷な移動、過密なスケジュール、そして激しいライブが重なることによる疲労も同じく積み重なっていく…その内、ずっと憧れていた“ワールドツアー”が徐々にストレスへと変貌を遂げていく、これは雑誌などで見聞きするレベルですが、恐らく本当の話だと思う。
毎日同じ顔を突き合わせ、勿論ライブ自体には真剣に向き合う訳で…真剣に向き合えば向き合う程、ぶつかり合いも増えることでしょう。
加えていつもなら許せることも、積もり重なった疲労により、精神的にも余裕がなくなり…その結果衝突を生み、最悪の場合、脱退と言う結果になることも。
その昔、BON JOVIがワールドツアー後にしばしグループとしての活動を休止したことがありました。
雑誌のインタビューで答えていた、その理由についてジョンは…
「このまま続けていくとバンド自体が壊れてしまいそうだったから、そうなる前に一度休みを取ることにした」
…勇気ある決断だなぁ、と思う。
周りは勿論成功するビジネスを前にして、下品な言い方ですが「稼げ~!もっと稼げ~!」とばかりにあれやこれやと仕事を詰め込もうとする筈なんです。
その生産システムを止めよう、というんだから否を唱える人が多く居るところ、勇気をもって一旦止める判断をしたバンドの英断は素晴らしいと本当に思う。
加えてこれもまた重要だと思うのが…決断を下せる立場にあること。
まだバンドとして成功を収めていない場合、そこまでの発言権を持つこと自体非常に困難な筈。
故に健全な活動が出来ない、という判断と同じくらい、それに伴う対処が出来るだけの権限を有していることも大切なんじゃないかと思うのです。
2024年2月25日