ここで…若い方の中にはご存知じゃない方もいらっしゃるかもしれません、昭和のいる・こいる師匠のことをご紹介させて頂きたいと思います。
昭和のいる・こいる師匠は…1966年結成の漫才師のお二人です。
先述の昭和こいる師匠はボケ担当、相方の昭和のいる師匠はツッコミ担当。
出会いは“歌声喫茶”。
“歌声喫茶”というのはお客さんが伴奏に合わせて歌うことを目的とした喫茶店で、ピアノやアコーディオン、生バンドの演奏に合わせ、その場に居合わせたお客さんがお店が作った歌集を手にして歌う、というもの。
信じられないスタイルではありますが、それが今ではカラオケ付きのスナックだったり、カラオケボックスだったりに変化して来ている、ということなんでしょうねぇ。
そんな“歌声喫茶”でのいる師匠とこいる師匠は司会をされていたそうです。
で、その丁々発止のやりとりが「面白い」と評判になり、獅子てんや・瀬戸わんや師匠に師事し、漫才の道へと進んだんだそうです。
漫才のスタイルは…のいる師匠が時事ネタだったり、話題になっていることを話し出すが、こいる師匠は聞いてるんだか聞いてないんだか分からない感じで「そうかいそうかい」「良かった良かった」「しょうがねぇしょうがねぇ」といった調子で適当な受け答えだったり、相槌を打ったり。
その返しをのいる師匠が突っ込んだり流したり。
あとそのこいる師匠が話を受け流す流れで、頭を少し下げて両手を挟むようにあげ、「はいはいはいはい」と手を振るようなジェスチャー(…この表現で伝わるかは甚だ微妙ですが)がお決まりのギャグで、出た時は拍手笑いのレベルで大盛り上がりになったもんです。
こうやって振り返ってると…また観たくなるなぁ。
あと私が大好きなくだりがあるんです。
こいる師匠が歌が好きだ、みたいな話があって、風呂でよく歌うと、風呂だと歌が上手くなる、みたいな話から…頭に手ぬぐいを乗せると風呂に浸かった気分になれるのでやってみよう、みたいな流れなんですが、これがまぁこいる師匠の適当っぷりとそれを転がすのいる師匠のやりとりが絶妙で♪
東洋館だけじゃなく、地方などの営業でご一緒させて頂いた時も…いつも袖から観させて頂いてました。
思うと実に貴重な経験が出来ていたんですねぇ。
東京漫才の看板といってよい漫才師だった昭和のいる・こいるのお二方。
しかし、漫才師というのは実に因果な職業で…例えば自分自身が何の問題がなくても、相方さんがそうでなければ成立しないのです。
2023年08月03日