そういえば…その3回目の『ザイマン演芸会』での話。
とにかくコロナの対応は人の数だけ常識があって、何処までやれば良いかの判断は非常に難しい時期でした。
私としてはとにかく出演者の皆さんに何かあってはいけない、何かがないようにこちらが出来得る最善の準備はしておかなければならない、これが主催者である立場としての義務・責務。
特にこいる師匠に関していうと、ご高齢に加えて大病を患っていらっしゃる状況でもあったので(この話は後半改めて)…絶対にコロナに感染させてしまうようなことがあったら、それはすなわち命に関わることなのです。
この時の開催に際して、最も神経質になったのはこのこいる師匠にまつわるところでした。
ところが…せっかくこいる師匠の入りを後半のギリギリのタイミングに移したのに…こいる師匠は開演前の時間に会場に来ちゃったのです!
「おはようさん!」…いつもの調子で現れたこいる師匠を見た瞬間、拍子抜けというか、〔メチャメチャ考えて入り時間決めたのに!〕なんて思いも駆け巡りましたが…その一方で〔やっぱり劇場がお好きなんだな〕〔漫才楽しみにしてくれてたんだな〕と、とても嬉しく、ほっこりした気持ちにもなりました。
その後いつものように(同じく3回連続出演の)ぁみさんを始めとした皆さんと楽しそうにしているのを見て…〔何よりこういうひと時が作れて良かった〕と思いました。
当時はどんなにお客さんが少なくても中止にならなかった浅草東洋館でさえ…最初の緊急事態宣言が出た時は長く中止になりましたし、出演者の中にコロナの感染者が出た瞬間、翌日から救援になったりということで、催し物を開催すること自体の是非が二分する時期でした。
それは言い換えれば我々芸人にとって主戦場を根こそぎ奪われるような状況だったんです。
だからこそ、こいる師匠含めた出演者やスタッフを務めてくれた皆さんとお客さんの一体感が心を揺らす、素晴らしい夜になったんじゃないかと、自負している次第です。
2023年08月20日