近年亡くなられた師匠方の中に、ナンセンスのお二方がいらっしゃいます。
元々は“ナンセンストリオ”というお名前で(…今思えばとても良い名前だ)、その名の通り、トリオで活動されてらっしゃいました。
結成は1964年、私でさえ生まれる前の話です。
結成当時のメンバーは…江口明師匠、(最後までナンセンスの名前を背負い続けた)岸野猛師匠、そして…青空球児師匠!
このナンセンストリオがブレークしたのは何と!球児師匠が脱退後というから皮肉な話です。。。
球児師匠の代わりに加入されたのが(バンドみたいですね)、前田隣師匠。
この隣師匠が実に粋でセンスの良い方で、私はお亡くなりになられる数年しか御縁がなかったのですが…本当に大好きだった師匠のお一人なんです。
その後ナンセンストリオは江口師匠が脱退し、代わりに入られたのが同じく三人組だった“トリオスカイライン”のメンバーだった原田師匠。
その後隣師匠も抜けられ、残った岸野師匠と原田師匠で続けられたコンビが…“ナンセンス”というコンビになるのです。
私がご一緒させて頂いたのは…その“ナンセンス”時代から、ということになります。
ナンセンストリオがブレイクした代表作が二つあります。
一つが“♪親亀の背中に子亀を乗せて~”というフレーズのギャグ。
実のところ私はそのギャグを観たことが無いのですが…年配の方にそのことを聞くと、殆どの方がご存知だという…それだけその当時一世を風靡したことがよく分かります。
そしてもう一つが…「赤あげて、白あげて、白さげないで、赤さげる…」みたいなやりとりで遊ぶ、旗揚げゲームのネタ。
ナンセンス師匠が浅草東洋館でやるネタはいつも概ね一緒で…“旅行に行きたい”というくだりがオチになるネタで。
晩年は岸野師匠は耳が遠くなって来てて、原田師匠は物忘れが多くなって来ているという状況で、もはやネタ以外の部分に見どころが移ってしまっていた感もあるのですが…その時期より若い頃は(…といっても充分にお二人ともお爺さんでしたが)、本当に毎回ネタで爆笑を取ってらっしゃいました。
ある時、漫才協会がたまにあてがってくれる地方公演で山形に出向いた時の話です。
2023年09月21日