その後、球児師匠の呑みのお供をさせて頂く機会に恵まれて、ホッとひと息の私にとって、忘れられない夜がありました。
東北地方のお仕事で、確か仙台でのラジオの収録終わりだったか、はたまた演芸会だったかはちょっと朧気なんですが…とにかく東北新幹線にて上野で一緒に降りた時の話です。
当時の私は初めての“さし呑み”のチャンスを夜勤のバイトがあることを理由にお断りした状況をようやく脱却し、ようやく芸事のお仕事で生活を営むことが出来るようになっておりました。
いや、むしろもっと細かく言いますと…バブル期と言いますか、メディアに多数取り上げて貰った時期が終わり、かなり仕事も落ち着いていた時期といった方が良いと思います。
それでも芸事で家族を養って行けてる訳ですから…まぁ、明日の不安はない、比較的安定していた時期と言ってよいと思います。
そんなタイミングで私に声を掛けて下さった球児師匠、つくづく同じ沿線に住んでいて良かったと思ったもんです。
立ち寄ったのは構内のお寿司屋さん。
あまり周りに気づかれることを好まれない球児師匠なんですが、直ぐに周りの特にご高齢の方々にその存在を気付かれてしまいます。
その理由は話している声。
何と言っても特徴的な濁声、これだけで演芸ファンは気付いてしまいます。
そして、これは私自身も同じくなんですが…話す声の大きさ。
私もさることながら球児師匠の話す声はとにかくデカい。
普通に話してる感覚なのに十二分過ぎる程デカいんですから…つくづく“芸人”“漫才師”というのは常識外れな職業です。。。
軽く生ビールで乾杯しながら、手元にあるメニューを見ながら「おぉっ、遠慮せず好きなもん頼めよ」なんて私にメニューを見せつつ、ガンガン気になるメニューを頼んでいく球児師匠。
不意に思うんです…〔目の前に球児師匠がいらっしゃる〕ことが当たり前みたいになってることが、実はとても凄いことだと…。
2023年10月24日