まずは普通の漫才の出方で出て行くお二人。
軽く自己紹介、これは営業ではセオリー。
お笑いに興味のない人に対してどうアプローチするか?これが営業における必勝法であり、少しでも興味を持って貰えるように入念に自分の身の程を伝えることはとても大切なことなのです。
そしてここからが違いました…“旗揚げゲーム”の話をして、直ぐにお客さんをお一人選び、直ぐに旗揚げゲームに入る。
圧巻でした。。。
淀みなくお客さんをイジる流れに無駄がなく、またお客さんも傷つかない、程よい感じ。
その徐々にお客さんを掌握して行く感じが圧巻で…凄まじい爆笑の嵐!
まさか靴下を片方の足に二足履くような方とは思えない、さすがというしかないステージでした。。。
私は油断していました…もっとしっかり目に焼き付けておくべきだったと。。。
また何処かでご一緒する機会があった時は、もっとかぶりついてその芸の核心の部分を観ておけば良かった。
しかしながら…その機会に恵まれることなく、原田師匠はお亡くなりになってしまいました。
原田師匠とは楽屋が一緒でよく色んな話を聞かせて頂いたものですが、ある時こんなことがありました。
漫才協会のスタッフさんが楽屋に来て、原田師匠に(先述の山形のような)出張寄席の打診をしていました。
ところが原田師匠、スケジュールが空いているにも関わらず、そのお仕事をお断りになってしまいました。
普段の演芸場よりもギャラは絶対に良い筈です…私は思わず「何でお断りになっちゃったんですか?」と尋ねました。
その原田師匠の答は衝撃の理由でした。
「だってよぉ、その頃生きてる自信がねぇもん」
…確か半年後くらいの話ですよ??
その日もちゃんと舞台に出てらっしゃるのに…断ります????
かくして私の“ナンセンス師匠との共演”は、果たせぬ夢となってしまったのです。。。
2023年09月23日