こいる師匠が亡くなられてまもなく２年の月日が経とうとしています。
私は何処か、こいる師匠が亡くなられたことを受け留められていないというか…けじめがつけられていないような気がしています。
それはすなわち、お通夜や告別式といった場に出向き、こいる師匠とのお別れが出来ていないことに他なりません。
返事を頂くことは叶わなくなりましたが…とにかく御礼が言いたかった。
漫才協会に入りたての頃、至らぬところを厳しく指摘して下さいまして、本当に有難うございました。
お陰でその後も失敗を繰り返しながら…何とかここまでやって来られたのは、この時のこいる師匠のお叱りの言葉があったからです。
態度の悪い若造の私に声を掛けて下さった町屋の小料理屋さんでのさし呑み、本当に嬉しかったです。
あの時、こいる師匠からのお誘いがなかったら…私は人の魅力を深くまで見ようとする心がないまま今に至ってしまっていたかもしれません。
私が現在、インタビューのお仕事を沢山頂けるようになったこと、お世話になっている人とのお付き合いが楽しくなったのは…この時の気付きがあったからだと思っています、本当に有難うございました。
若造であることを棚に上げて、「一緒に漫才をやって頂けませんか？」なんていう不躾なお願いを快くお引き受け頂きまして、本当に有難うございました。
本来であれば色々稽古して仕込みたかったんじゃないかと思いますが…指示があったのは後半の頭に手拭いを乗せるくだりだけ。
私は内心不安と緊張でいっぱいでしたが…結果沢山笑って頂けたのは全てこいる師匠のお陰だと思っています。
結局その後のこいる師匠との漫才では…一度もちゃんと稽古することはありませんでしたが…それでも一度としてハズすことはありませんでした、それどころか全てしっかり笑いのある漫才になったのは…こいる師匠のお力の賜物です。
私に振りの部分を全て任せて下さったこと、ここぞのタイミングでしっかり笑いが取れるような仕掛けを入れて下さったこと、アドリブで脱線して行って…私の持ち味を引き出して下さったこと、その全ては私の宝物です。
特に二人で立った下北沢のライブハウスでの２０分は結局台本なし、このひと時は私にとって筆舌に尽くしがたい思い出となりました。
私にとって、こいる師匠と二人で漫才が出来たことは大きな誇りと自信になっています。
他にも…目上の方と関わり方であったり、こいる師匠が拘られていることを知ることで得た気付きであったり…とにかく沢山のことを学ばせて頂きました。
ここいる師匠、私みたいな若造と付き合って下さいまして…本当に有難うございました。
２０２３年０９月１８日
