私を含めた漫才協会の後輩が全力で空気を温め、満を持してステージに登場した遊平師匠。
まだ遊平師匠の義手は手を模した部分が到着しておらず…童話『ピーターパン』に出て来るフック船長のような見た目。
一目で義手であることが分かるような状況だった訳ですが…その手の様子を見たお客さんの空気は、私の感じたところで言うと〔ほとんとだぁ〕というような“驚き”はあったように思いましたが、それは事前に懸念された“引く”という状況ではなりませんでした。
その後も事故について振り返って頂くトークでは遊平師匠、ちょこちょこボケを挟んで来るし、そこに後輩たちは突っ込んだり、ボケをかぶしたりととにかく楽しい時間が続きました♪
たまに攻め過ぎて外したりするのもまたおかしくて！
本当に朗らかで温かくもしっかり笑いを作るために演者が一枚岩になった、とても良いライブになったと思います。
何が良かったって、遊平師匠がとても楽しそうにされていたこと！
仕事としてご満足頂けるようなギャラをお渡し出来るようなものではありませんでしたが…我々後輩らしい快気祝いを快く受け留めて下さった、そんな風に思いました。
本番前に話して下さったんですが…事故に遭われた直後は、心の底から絶望に打ちひしがれて、最悪の選択を考えたこともあったそうです。
それでも遊平師匠はステージに戻って来られました。
本当に良かったと思います。
今、遊平師匠の元には事故に遭われたことに対する取材などのお話が来るようになったそうです。
自分が遊平師匠と同じ立場になったことを想像して…果たして自分が舞台に復帰する選択を選ぶかと尋ねられたら、私にはその自信はありません。
だがしかし、遊平師匠の強くて前向きな気持ちは、私にも勇気を与えてくれました。
生きていたら辛いことや悲しいこと、ムカつくことややけくそになりたくなること…今までもあるし、これからだって同じくあると思います。
でも生きていればその後に良いことがやって来るかもしれない、人間はその来るかもしれない“良いこと”を思い浮かべて生きて行く生き物なんだなぁ、そんな風に思います。
生きていること、そもそもそのこと自体が当たり前ではない…そんなことを痛感させられる出来事がありました。
２０２３年１０月１８日
