“昭和こいる”という名のある方、当然ながら分不相応に当たるお話はご相談しにくいし、ご相談しても門前払いで一瞬の撃沈だとばかり思ってました。
ところが…こいる師匠は実はそうじゃなかったんですよね。
今改めて思い返しても…お立場に相応しくない相談ばかりしてしまってましたが、一度も断られることはありませんでしたし、むしろとても前向きに取り組んで下さいました。
了承を頂けるだけの熱量と内容を提示することは最低限のマナー。
加えてご相談する際は失礼に当たらない礼節を持って臨むことも言うまでもありませんが…私はこいる師匠から“勇気”という大きな財産を授けて頂いたのです。。。
紹介した通り、収録するスタジオは三軒茶屋にありました。
一方、こいる師匠のご自宅は…北区。
今だから書きますが、実はこの頃のこいる師匠は…抗がん剤の副作用などもあって、歩くことさえとても大変な状況でした。
故にお一人電車を乗り継ぎ…三軒茶屋まで来られるのは、正直かなりの負担。
それじゃあ諦めるか、と言われたらその選択も違うと思ってて。
何故なら…これは健康な者の勝手な料簡かもしれませんが、やはり体力が落ちて来ているからこそ動いて欲しいし、(立場を顧みず言わせて頂くなら)動かなければならないんじゃないかと。
そのまま老け込んで欲しくなかったのです。
実を言うとこの収録より少し前から…私はかなり焦っていました。
こいる師匠とお会いする度、調子が良さそうな時もあれば、明らかに芳しくない時もある。
明らかに芳しくない時、私は思ってしまっていました…〔このまま悪化の一途を辿ってしまったらどうしよう〕と。
そしてとにかく“こいる師匠がお元気なうちに私に出来るだけのことをしよう”と。
勿論自分自身の仕事ありきではあるのですが、それ以外の時間…少しでも可能性のあることがあれば、動く姿勢は崩しませんでした。
この時も同じく。
わが家のある足立区から車で迎えに行き、北区のこいる師匠のご自宅に寄り、こいる師匠をお乗せする。
個人的に車は時間が読めないし、仕事の時はなるべく車を使わないようにしていたのですが…今回ばかりは話が違います。
少し早めに家を出て、15分くらい前に付近に到着。
このまま行くとちょっと早過ぎると思い、少し前のところにあるコンビニで時間調整をしていたら…着信があり、その声の主はこいる師匠。
「今どの辺?」
そうなんです、こいる師匠はとてもせっかち。
あの「ハイハイハイハイ」「そうかいそうかい」といった感じで適当にあしらう流れは、実はこいる師匠がせっかちだからこそ産まれたものでした。
そしてせっかちな時は調子が良い証拠!
電話で煽られながら、何処かほっとした気持ちになったのでした。。。