昭和こいる師匠に…“これはさすがに”というべき相談事が出来ました。
今から5年程前の話です。
こいる師匠はこの頃、相方の昭和のいる師匠が療養中ということで、お一人でステージに立たれてました。
一時期は同じく相方であるひろし師匠が療養中のため、1人でステージに立たれていたあした順子師匠と漫才をされていた時期もあるのですが…基本はお1人。
ある時、こいる師匠と楽屋が一緒だった時、こいる師匠がこんなことを仰いました。
「ずっと漫才やって来たからね、やっぱり漫才やりたいよね」
「一人で“ハイハイハイハイ”やっててもさ、何かバカみたいだよね」
…半ば自嘲気味に、そう仰いました。
「やっぱ相方さんが居てね、突っ込んで貰わないと」
…その一言を聞いて、私はふと思ったのです。
〔役不足なのは百も承知やけど…私と漫才をやって貰えないだろうか?〕
前にも紹介した通り、“昭和のいる・こいる”のスタイルは、語るのいる師匠とはぐらかすこいる師匠のコントラスト。
のいる師匠が話の筋を進めるからこそ、こいる師匠の“のらりくらり”が際立つのです。
こいる師匠が1人で立つとなると…ただただ“のらりくらり”しているだけでは済まないので…普通に喋らなければならない部分が必要になって来る。
すなわち普通の話もせざるを得ないことで、“のらりくらり”が出せないというか、出しても振り切れなくなってしまうのです。
こいる師匠のお一人のステージを袖で観させて頂いて…私みたいなものがいうのも生意気な話ですが、その辺りのバランスを絶妙に考えられた、こいる師匠が築いて来られたものをハイブリットさせた、「さすが」という外ない内容のものをご披露されてました。
ただその一方で…やはりこいる師匠の最大の魅力である“のらりくらり”はコンビのそれには及ばないし、こいる師匠もそこを自嘲気味に仰ることもあって…その度“漫才師”“コンビ”の難しさを感じずにはいられませんでした。
そこで思い付いたこいる師匠へのご相談、それは…“昭和こいる師匠と“昭和のいる・こいる”の漫才をやりたい”というもの。
これは勿論、オフィシャルのコンビではなく、企画としての話です。
ふっと思い付いたはイーですが、さすがに今回ばかりは気楽に頼める話ではありませんでした。
そんな時…漫才協会のある先輩方と飲みに行かせて頂く機会がありました。
2023年08月09日