当時の私は浅草でご一緒する師匠方を何処か“反面教師”のような捉え方をしていたように思います。
出番が終わったあと、とある師匠から長々と駄目だしを喰らったこともありました。
口では「はい」「有難うございます」と答えながら、心の中では〔自分、全然売れてへんやん!〕なんて思ったり。
今はそんな受け留め方をすることはありませんし、心から「有難うございます!」と言えるんですが…やっぱり未熟だったんですよね。。。
そんな中、当時もっとも身近に感じ、もっとも尊敬していたのが“おぼん・こぼん師匠”。
ステージ上は常に大爆笑。
内容も盛り沢山で、歌に始まり、タップ、漫才、モノマネと何でもござれ。
この世界、お客さんを楽しませることは当たり前のこと、次に重要なのは…とにかく“唯一無二”の存在であること。
お客さんを楽しませる能力が確実にあって、唯一無二であること、この二つに人間性が伴っていれば…例え小さな事務所であっても絶対に成功すると私は思っています。
おぼん・こぼん師匠にはその大切な二つがあったから成功者になれたのです。
加えて芸事以外でも…大所帯で呑みに行き、宴席では先輩後輩の垣根無く盛り上げる!
終わったらお二方でぽぉーんと会計を済ませてしまう。
先だって紹介した、2004年12月に長男が生まれた時も、おぼん師匠、こぼん師匠にそれぞれご報告をさせて頂いたら、何の迷いもなくお二人からそれぞれご祝儀を手渡して下さいました。
額もお二方とも同じで…そんなの中々サラッと出来ませんよ!
とかくピリピリしていた浅草での私が、当時最も心を開いていたのが…おぼん・こぼん師匠であったことは、決して“ご馳走して頂けるから”“ご祝儀をくれた”からではないことだけは確実にお伝えしたいと思います。
さてある日のこと。
いつものように浅草東洋館の出番を頂き、その後がなくて終演時まで残り、いつものようにお声掛け頂き、おぼん・こぼん師匠にお酒や食事をご馳走になった時のことでした。
2023年07月19日