▶一人でも多くの人に観て欲しい映画がある▶
新型コロナウイルス対策で…、
ワクチン開発に躍起になっている製薬会社。
良く効く薬は…、
副作用が怖い…。
そんなことを考えながら観ると…、
製薬会社と政府の癒着の恐さを考えてしまう。
★★★
『今日のレフくん』
「動物実験からはじまる新薬開発。難しい問題だニャン!」
★(1年前…)2019年6月16日の夢叶は、『菊野克紀さん!伊調馨さん!川井梨沙子さんが躍動!』でした。
暑苦しくて眠れぬ夜。信頼している映画評論家に、
「今、観るべき映画を教えて欲しい!?」
とメールしたら即刻返信がきた。
「2005年公開。アカデミー賞、4部門ノミネート作品『ナイロビの蜂』を観て欲しい。永遠の愛を軸に置きながら新薬開発の闇を描いた本作。この時期に観ると新型コロナウイルスのワクチン開発の闇が見えてくるんだよね。アカデミー助演女優賞に輝いたレイチェル・ワイズの演技も見ものだよ」
迷うことなくミッドナイトシアターのはじまりはじまり。
★『映画「ナイロビの蜂」。コロナ下で見たからより深く感銘した夢叶なのだ!?』
あらすじ…。
英国外務省の外交官ジャスティン(レイン・ファインズ)の妻テッサ(レイチェル・ワイズ)が何者かの手によって殺された。テッサは大手製薬会社がアフリカの貧しい人々を使って新薬の実験をしていることを探っていた。愛するテッサの死の真相を探り始めたジャスティンは事件の裏に潜む陰謀を知ることに。真相に近づくにつれ自身にも危険がすり寄ってくる。果たしてその結末は…。
アフリカへ何度も足を運んだことがある吾輩。
カメラが捉えたアフリカ・スラム街の映像は、人の温度、風の臭い、空気感が伝わってくるほど現地の熱量が伝わってきた。
見終えた後…、
監督が伝えたい想いが幾つも交錯しているような気がした。
近日、二度目の鑑賞をすることを決めた。
『ナイロビの蜂』を手掛けた監督は…、
リオデジャネイロのスラム街を根城にする子供たちの抗争を描いた作品『シティ・オブ・ゴッド』(2002年公開)でアカデミー賞監督賞にノミネートされ一躍脚光を浴びたフェルナンド・メイレレス監督。
フェルナンド・メイレレス監督が『ナイロビの蜂』に賭けるインタビュー記事を発見!
とても興味深いので抜粋させていただきました。
ブラジル貧民街に住む少年たちの現実を描き、アカデミー賞監督賞にノミネートされて一躍世界に知れ渡ったフェルナンド・メイレレス監督が、イギリスの著名作家ジョン・ル・カレの原作を映画化した長編第2作「ナイロビの蜂」について語った。また、主演のレイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズのインタビューもあわせてお届けする。(※聞き手/若林ゆりさん)
ブラジルの貧民街に住む少年たちの“仁義なき戦い”を熱のこもったエンターテインメントに仕上げ、世界から絶賛を浴びたメイレレス監督。その彼が、英国ミステリー界の重鎮、ジョン・ル・カレの原作を手がけるというのは、意外な選択に思えるかもしれない。しかし、ここには監督の意欲をそそる要素がたっぷりあったのだ。
「僕は、本来ならスリラーやスパイ映画はやろうと思わない。なぜやる気になったかと言えば、これが製薬会社の悪徳をめぐるストーリーだったからさ。これは僕の祖国、ブラジルでも大問題なんだ。ブラジルではエイズなどのジェネリック医薬品を生産しているんだが、保健相が国民のために安く医薬品を生産しようとしているのに、アメリカはそれを阻止しようと圧力をかけている。貿易に関しても言えることだが、世界の規律は第一世界が自分の利益を守るために作られていて、第三世界には不利であり、犠牲を強いるものなんだよ。第一世界が第三世界を食い物にしている状況は、ひどいものだ。だからこの映画は僕にとって、製薬会社を困らせてやるいいチャンス。個人的な報復だよ(笑)。もちろん、これは美しいラブストーリーでスリラーでもあるから、その点でも挑戦だ」
映画はアカデミー賞脚色賞にもノミネートされている。しかしその実、フラッシュバックを多用し、原作を見事に再構築したのは監督の編集力にほかならない。イギリスの階級社会より、アフリカの生命力が鮮明に描かれているのも、メイレレスならでは。
「僕は編集段階で映画を作っていく。これは僕のやり方なんだ。編集するのがいちばん好きだね。脚本があっても撮影段階で自由にいろいろなチャレンジをして、編集しながらいちばん適切な語り方を探っていく。つなぎのシーンが必要だと思ったら、即興的に加えたりもする。脚本家やプロデューサーには内緒だけどね(笑)。役者には設定を与えて自由に動き、しゃべってもらい、それをカメラで追い続ける。セリフの声がかぶっても構わないよ。あとでカットしづらくなるけど、それが自然なんだから。それから、僕は洗練されたイギリス人社会よりアフリカに共鳴している。だからどうしても、ケニアやナイロビの描写を増やしたかったんだ」
「シティ・オブ・ゴッド」では素人俳優を訓練した上で自由な演技を引き出した監督だが、今回は「プロの俳優と仕事する醍醐味」を大いに味わったとか。
「レイフ・ファインズとレイチェル・ワイズの演技は並外れた素晴らしさで、非常に満足しているよ。2人はとても相性がいい。2人ともアドリブをやりたがるタイプでね。たとえばベッドでの会話を急遽加えたんだが、どのテイクにも新しいセリフが入っていて、どれも違う。相手が予期しないことを言うと、それに対応しなければならないよね? それがシーンを生き生きとさせるんだ。こうしたやり方ができるのも、15年間も一緒に働いてくれている撮影監督、セザール・シャローンのおかげだよ」
原題にもなっている庭師(Gardener)を演じたイギリスのベテラン演技派レイフ・ファインズ。フェルナンド・メイレレス監督との仕事、自身が演じた主人公ジャスティンについてレイフ・ファインズが語る。(※聞き手/若林ゆりさん)
レイフ・ファインズが演じるジャスティンは、秩序を重んじ、ガーデニングを愛し、穏やかでやさしく、事なかれ主義の英国外交官。彼は妻テッサを失って初めて、それまで深く知ろうとはしなかった妻の人生へと、命がけの旅に出る。
「ジャスティンは少々時代遅れのイギリス人男性として描かれているが、大きな旅を経て変わっていくんだ。僕はこのキャラクターに多くの部分に共通点を見出していて、とても親近感を抱いているよ」
キャラクターはもちろん、ストーリーについても、メイレレス監督の独特なアプローチについても感銘を受けた、と彼は言う。
「これは個人的なラブストーリーを追うと同時に、政治的スリラーでもある。映画化はなかなかの挑戦だ。ル・カレの小説をメイレレスが監督するって聞くと、みんな『それはすごいけど、面白い選択だね』って言う。普通、ル・カレの原作ならトラディショナルなイギリス人監督を選ぶものと決まっているからさ。この作品が素晴らしいのは、監督がトラディショナルなアプローチとは全く反対の、独自のスタイルを確立していることなんだ。『ロシア・ハウス』なんかとは違ったスタイルをね。監督がこの作品を通して見ているのは、大企業や巨大国家と、第三世界、特にアフリカとの関係だ。アフリカのタフな、しかし鮮烈な地域での撮影を決めたことは素晴らしいと思う」
メイレレス監督独特の自由な撮影スタイルは、役者としての彼に大きな刺激を与えた。
「フェルナンドは、僕の演じるジャスティンを信用してくれた。初日にいくつか提案をすると、彼は『うん、いいアイディアだね。もっといろいろ言ってくれよ。この何カ月か君の頭はジャスティンになりきっていたはずだから』と言ってくれた。これはコラボレーションだ。演じてみながら、常に進化していく感じだよ。彼はドラマと緊張感を、編集の段階で創り出す。つまり、撮影の段階では試してみる自由がたくさんあるってことだ。それに撮影は軽量のカメラを用いて、滑らかで自由なスタイルを取っている。顔の近くに持ってきたかと思うと周囲を動き回る。だから演じていて、とても緊張感があるんだ」
ところで、あなた自身はガーデニング好き?
「僕は得意じゃないけど、ジャスティンにとっては非常に重要な要素だ。植物に対する繊細さと理解、そしてガーデナー特有の警戒心のような精神が、彼という人間を形成しているから。実は撮影前にドイツで、園芸センターを訪ねたんだ。そこでガーデナーたちに会ったんだけど、興味深かったよ。彼らは自分たちの世界にこもった内気な人たちだ。それがジャスティンにも当てはまると思う。最初のほうで、彼が植物に水やりしているのをテッサが見つけるシーンがある。彼女は、そこに彼の本質を見出すんだ。出会ったときは堅苦しい印象だった男に、突然、別の面を見つけるわけさ。僕自身もガーデニングに興味はあるけど……、やるならロンドンを離れなきゃね(笑)」
本作の演技で見事アカデミー賞助演女優賞を受賞したレイチェル・ワイズ。本作のキーとなる人物ともいえるテッサを演じた彼女が、役柄について、作品について語る。(※聞き手/若林ゆりさん)
レイチェル・ワイズがこの作品で演じたテッサほど鮮烈なヒロインには、そうそうお目にかかれない。情熱の塊のような彼女はアフリカでの人道活動に命を捧げ、志半ばにして散っていく。そしてその情熱と思いが、映画全体から迸っているのだ。
「テッサは、自分の信じていることのためには命も賭けるような人なの。驚くべき性格だと思う。私にもそういうところがあったら、と憧れるわ。特に好きなのは、彼女の複雑さ。とても強くて、いたずらっぽいところもあれば、頭痛の種でもある。彼女にはいろんな面があるの。私たちみたいにね」
テッサと夫のジャスティンはいろいろな意味で正反対であり、お互いのなかに踏み入らない「領域」をもっていた。そんな2人の夫婦関係をどう解釈する?
「ある意味で、2人は最初、似たような環境にいた。裕福な階級にいたんだけれど、そこから大きく違った方向に向かったのね。ジャスティンは外務省に勤め、問題を起こさないようにしている。テッサのほうは、自分の恵まれた環境に罪の意識のようなものを抱き、それを還元したいと思っている。政治的には自由で急進的。問題を起こすことに大きな喜びさえ感じているわ。人の命を救う、なんていう有益なことのためにはね。トラブルメーカーよ。でも私(テッサ)は、彼の頼もしく、安定しているところが好きなの。道徳的でまじめな人だし。彼は私がとんでもないことをしでかしても、ときには誇りに思ってくれる。私は大胆だから。いいコンビだと思うわ、お互いを引き立て合って。2人とも彼のような人だったり2人とも私のような人だったりしたらつまらないもの」
彼女もまたレイフ・ファインズ同様、メイレレス監督の独自性を大いに楽しんだという。
「フェルナンドは、みんなの口からふと出てきたものが好きなのよ。ものすごくリアルでドロドロしたものが好き。私がしゃべってからあなたがしゃべる、っていうような演劇的なものじゃなくてね。レイフもアドリブが好きだし、とても通じやすくていい関係が築けたと思う。それに、撮影を担当したセザール(・シャローン)の仕事の仕方はものすごいのよ。カメラと一緒に走り回って、まるでルポルタージュのような雰囲気なの。私はとても気に入っているわ。とてもとても、とってもね! 何時間もかけるんじゃなくて、『ライトが欲しい』って言われたら、セザールは電球を持って走ってくる。あんなにすばやい仕事をする人は見たことがないわ! 官僚主義的なところは本当に見あたらなくて、カメラと俳優と電球がいくつかあるだけよ。もしかしたら空想的に見ているだけかもしれないけれど(笑)」
この作品の持つ社会的なメッセージについてはどう思う?
「もちろんそれも、この作品に惚れ込んだ理由のひとつよ。これは妄想の話なんかじゃなく、実際に起こっていることを反映しているんだから。私にとって、世の中の状況を語る役はこれが初めてだったの」
聞き手・若林ゆりさんの素晴らしいインタビューのお陰で、もう一度鑑賞する楽しみが倍増しました。
ありがとうございます。
(エムP)
★あなたが、この世に誕生したことが夢叶だった。
あなたの誕生日には、
どんな夢叶があったのでしょう…。